VRChatで初心者案内するときに考えていること

こんばんは、まめニトロです。VRCを始めてそろそろ2年になる、まだまだ不束者な私ですが、今回は気が向いたので私が初心者案内をさせていただいているときに考えていることや初心者案内に対する考えとかを書いてみることにしました。

普通に読んでいただいても構いませんし、これから案内してみたいなと思っている方の参考にでもなればそれこそ嬉しいことですし、逆に私に案内されたよって方は答え合わせ的な、ドッキリのネタばらし的な面白さがあるかもしれません。

なお、これより下の記事は私のポリシー100%なので、私以外の初心者案内されている方々と違うところとか、普通に単純にひねくれているところとかがあるかもしれません。苦手な方はご注意ください。

まめ的 初心者案内の〇4個の極意

  1. 初心者案内は"案内屋のおせっかい"
  2. 案内中は常に案内対象が主役
  3. 初心者案内は常に"時間"との勝負
  4. 案内に対して責任は無いが、それなりの覚悟でやる

念のため簡単に言葉の定義だけしておきます

  • JPT - Japan Tutorial World 私がよく案内に使わせていただいているワールドです。
  • 案内屋 - 初心者案内する人の事を指します
  • 案内対象 - 案内を受けるVRCを始めたての人を指します

1.初心者案内は"案内屋のおせっかい"

これは絶対に忘れてはいけないことのひとつで、初心者案内は誰かに頼まれてやっているわけでも、ましてやお金をもらってやっているわけでもありません。特にVRCを既にプレイされている方には、最初に良質な案内屋(案内対象にマッチした)に案内された、されなかった、でその後のVRCの楽しさが段違いで変わることはたぶん感じていると思いますし、客観的に見てもそれがほぼほぼ正しいだろうことは明確です。ですが、案内対象にもひとりでのんびり回って自分だけで楽しむ選択肢もあります。なので、私は必ずお声がけさせていただくときに「JPTはひとりで読み進めても一通り理解できるようになってるので、そうしていただいても構いません」と付け加えています。

まぁ、それはそうで、当たり前の事と言えば当たり前の事なのですが、大事なのはその先の考えで、だからこそ、案内は「ひとりで回るよりも効率的」であり「案内された方が楽しい」ようになることが重要であるべきだと考えます。ただし、それはおせっかいであり、案内屋も「楽しかった」じゃないと意味がありません。案内した後、その案内対象のVRCが続かなかったとしても、その後一切Joinしてくれなかったとしても、案内屋がその時楽しかったであれば、その時間は無意味なものでは無かったと思います。その後で「あの説明はあんまりよくなかったかなぁ」とか「案内の時間長すぎたかなぁ」とか考えている時間も「楽しかった」のであれば、それこそその時間は次の案内がもっと楽しくなりますし、次の案内対象も「楽しかった」時間を得られる確率があがるとおもいます。案内はそういった考え方が出来る人に向いているんじゃないかなとは個人的に思っています。

まとめると「案内対象を楽しいと思わせることに試行錯誤したりする時間が楽しくて、結果的に案内対象が楽しかったらもっと楽しい」を1番に考えています。

2.案内中は常に案内対象が主役

当たり前ですが忘れがちなことです。

まずはここで言う「主役」って何かを考えます。ここで言う「主役」とは「どんな状況においても必ず優先される絶対的な存在」です。強い言葉を使ってしまいましたが、気持ち的な私の考えとしては「せめて、始めたばっかりの案内中ぐらいはどんなことがあっても優先的に楽しんでもらいたい」という感じです。流石に案内が終わった後や後日にJoinしてくれた時まで「主役」のままでいて欲しいとは思いませんが(それで私が楽しくなくなるのは嫌なので…)案内中ぐらい「主役は君です!」という気持ちです(まぁでも結局その後しばらくは優先的に楽しんでもらいたいおせっかい精神が働くのですが、)。

次に案内対象が「主役」になれるためにはどうしたらいいかを考えます。普通、主役になるためにはそれなりのカリスマ性や主体性が無いと難しいことが多いです。ですから、周りがサポートします。周りがその案内対象が主役になれるように持ち上げていきます。例えば、細かいことですが、こっちが喋っているときに喋り出した、喋ろうとするそぶりを見せた、その瞬間にこっちは話を止めて相手の話をまず聞く。とか、相手の見てる方向を観察して、今その案内対象の興味がどこに向いているのか見極めて、話題をそっちに切り替える、とか。

結構、難しいことを言っている気がしますが、割と簡単なことで「周りの人間すべてが案内対象を1番に考えて行動する」と自然と案内対象が主役になります。そして案内中は基本的に案内屋がずっと喋っていることが多い為、周りの人間は案内屋のみになっていることが多いです。私が案内を見に来てくださる方々にたまにお願いする「喋り声が干渉するから少し離れた位置でおしゃべりしてください!」というのは、そこら辺の要素も一部あります。(ですが案内のガヤはVRCの雰囲気が伝わって楽しいと思うので、とっても大歓迎です。)

この観点で特に重要なところが案内屋界隈で言われている暗黙の了解のひとつ「案内中に案内屋やその案内に対して口出しや指摘をしてはいけない」というものがあります。これのまずいところが、その後「案内屋と指摘者との会話に発展すること」です。そうなると間違いなく案内対象は取り残されますし、その時間は間違いなく主役じゃなくてあんまり楽しくないです。まぁ普通に案内に対して指摘を入れることの問題点として「各々の案内屋はそれぞれの案内シナリオがあって、指摘されることでそれが崩れる」とか「案内対象は指摘されてしまった案内屋の信頼度が落ちる」とか、他にもいろいろあります。

また、話が逸れましたが…まとめると「案内対象を主役にするためには周りがサポートする必要がある」ということです。

3.初心者案内は常に"時間"との勝負

これも大事なことで簡単に言えば「"楽しい時間"が長ければ長いほど楽しい」ということです。まぁQuest2単体でプレイされる方も多くなり気にする時間はそのQuest2の残りの充電だったり、案内対象のログアウトしないといけない時間だったり、いろいろありますが、ここでは"楽しい時間"について触れます。

コンテンツである以上、どんなものにおいても"楽しい時間"があると考えます。私はこれをピークタイムと呼んでいますが(それが正しい呼称なのかはわからないので、間違っていたらごめんなさい)、例えばオンライン対戦のできるチームデスマッチのFPSシューティングゲームを考えます。ゲームを起動してからそのゲームを落とすまでがプレイ時間だとして、そのゲームが"楽しい"時間はどのぐらいあるでしょうか?もちろんFPSですから、そのゲームの打ち合いの時間が一番楽しい時間であるべきで、立ち回りや味方の配置とか行動とかを見ている"打ち合ってはいないけどまぁまぁ楽しい時間"もあるのかなと思います。対して"楽しくない時間"はどのぐらいあるでしょうか?ゲームのロード中、マッチング待機中、キャラ選択画面でキャラクターを選んじゃった後、とか、そんなに面白くはないです(個人差はあるかもしれませんが)。こういった側面から、例えばマップが広すぎて移動時間が非常に長いFPSシューティングゲームや、プレイ人口が非常に少なく、なかなかマッチングしないようなゲームはピークタイムが少ない傾向にあります。

話が逸れましたが、VRCにおいてもピークタイムの概念は活かすことができて、それこそどっちかというとSNS的要素の強いVRCではそのピークタイムを自分で生み出すことも出来ますが、案内対象はそれがしずらいことが多いです。難しいことを書きましたが要は「楽しい時間が長ければ長いほど楽しいし、その楽しい時間の濃度が濃ゆければ濃いほど楽しいよね!」ということです。

じゃあ、この考えをどう活かすかというと、流石にVRの準備時間や起動、ログイン、ワールド移動とかを案内屋がどうこう出来る話ではないので、初心者案内中の時間に絞って考えます。まず根本的に「チュートリアルは楽しくないことが多い」ということを忘れてはいけません。どんなゲームにおいてもチュートリアルは存在しえますが、それはこれからのゲームとかをプレイするにあたって、そのプレイの方法を学び、ゲームの楽しみ方を理解することで、今後のプレイの"楽しさの濃度を上げること"に他なりません。ですから、チュートリアルの本懐は「今後のプレイをさらに楽しくすること」です。その考えのもと、案内中に喋る内容を考えたり、お伝えする情報を絞ったりしているわけです。

まぁでもせっかくなので案内中も多少は楽しんでもらいたい訳で、次に初心者案内がどうしたら楽しいものになりやすいかを考えます。そのためにはまず逆に"楽しくない"もしくは"楽しさの濃度が薄い"時間を考えます。全部を書き出せませんが、例えば、JPTで案内する際に一番最初にするであろう設定項目の解説。これは個人的にはだいぶ楽しくありません。VR自体が初プレイであれば多少は「3D空間にメニューが浮かんでいて、それを操作できる!」みたいな楽しさはあるかもしれませんが、楽しさと言えばそれぐらいで「この設定はこんな機能を提供するよ!」みたいな話をされても「ふーん、なるほど~」となる気がします。なので、私は設定項目に関しては「壁面の画像の通りに設定すればとりあえずは大丈夫!」とお伝えしてほとんどの解説を省略します。特に設定の項目に関しては大体の場合、JPTだと壁に書かれている文字を読めば理解できますし、それだけでわからなかった場合は周りの人に聞いてみてねとお伝えしていて、後日聞いてくださったり、どなたかに聞いたときはそこから会話が発生し、"楽しい時間"になることが期待できます。ただし、移動方法(HOLO PORTとCONFORTE TURNING)に関してだけはON/OFFさせて案内対象の反応を見ます。移動方式を直感的にできればその分、没入感を生み出せ、その後の楽しい時間の濃度が上がることが期待できますが、仮にVR酔いをしてしまった場合、一気に楽しくない時間になってしまうリスクがあるからです。

初心者案内は「30分~60分ぐらいが目安でベスト」という話はよく聞きますが、単に「短ければ短いほど良い」というわけでもないと思っていて、案内対象の反応をみつつその時間が案内対象にとって楽しいのか楽しくないのか見極めつつ調整出来たら、私も楽しいな、と思いながら話す内容を考えています。

4.案内に対して責任は無いが、それなりの覚悟でやる

これはたぶん総合的に見て案内するうえで最も重要なことです。先にも触れましたが案内屋は頼まれてやっているわけでもありませんし、お金を頂いてやっているわけでもありません。なので、例え「案内の時間が事故で案内対象にとって悲しい時間になってしまった」、「案内がスムーズに行かなくて案内対象がその後プレイすることが無かった」としても、案内屋にその責任は一切ありません。VRCを続ける続けない、その時間を楽しいものにするしない、は本人で変えられうるものであり、我々にその義務は発生しません。

あまりにもそれは無責任じゃないか?と思いますが、そんなことはありません。案内するしないもその人の自由ですし、案内されるされないも案内対象の自由です。それに案内の失敗で案内屋が悲しい気持ちになったり、VRCを辞めてしまっては元も子もありません。先にも言ったように初心者案内はおせっかいであり、善意で成り立っている案内という行為は案内屋の自由でなければなりません。

かといって我々は適当に案内していいというわけではありません。それぞれの案内屋がどうして初心者案内をしているのかという理由は結構、それぞれの案内屋でいろいろなものがありますが、私の場合は「案内対象が楽しければ、今後楽しんでくれれば、私が嬉しい」というところにあります。なので、"私が楽しむために"案内対象が楽しめることに全力を注ぎます。要は「自分のやりたい事の目標に全力を注ぐ」というだけです。それは自分のやりたいことであるので、責任とかは別に発生しません。勝手に他の案内屋さんも「自分のやりたい事」を全力でしているんだろうな、と思っています。

私の初心者案内が案内対象にとっても"楽しいこと"になってくれれば、それはとても嬉しいことですが、残念ながら相性の問題や、私の不手際とかもあり、そうならなかったことも多々あります。ですが、それに負い目や責任は感じてはいません。というか感じないようにしています。"楽しいこと"になるようにその時の全力を注いだので、それはそれでいいのです。

 

あとがき

私自身、VRCを初めて初心者案内をされ、VRCの世界に踏み込み、ガラッと世界観や生活が変化しました。そしてそれが私にとってとても楽しいことだったので、初心者案内をたまにやっていますが、VRCを始めて楽しんでいる姿や、私に案内されてよかったとおっしゃってくれる方々が、今も案内を続けられている原動力です。

なんとなくの思い付きで言語化したくて書き出したら長文になってしまいましたが…。今回は案内中に考えていることとして、意識的なお話を書いてみました。もし要望があればもう少し具体的などんなことをどうゆう考えで喋っているか、どういったシナリオで案内を進めているか、みたいなことも書きたいなとも思っています(それはそれで膨大な文字数になりそうですが…)。

長文にここまで付き合ってくださりありがとうございました!